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最大の条件は広さではなく、使い勝手を優先した工夫
第3回 毎日が快適なキッチンを考える。
最優先したい機能性

003-01.jpg キッチンは、家族のために毎日の料理をこしらえるだけの場所ではありません。配膳・後片付け、手入れ、そして必要な食材や調理器具類の出し入れなど、キッチンでは実に多様な作業が1日に何度も繰り返して行われます。このように、毎日、単純とも思える作業が繰り返して行われるのですから、そのどの作業も快適で使い勝手がよく、家事のわずらわしさが少しでも解消されたスペースというのがキッチンの基本的な条件です。もうひと言追加すれば、快適なキッチンとは料理するのがワクワクするほど楽しくなる空間ということです。
 では、あまり窮屈な思いをしないで、一連の調理作業ができるスペースはどの程度必要なのでしょうか?キッチンのなかで最もスペースをとるのは、食材を洗ったり、切ったり、加熱する調理台部分と食材や調理器具類を収納する場所です。調理台は、調理作業をするときだけ必要な部分ですから、作業するときだけ広く使える仕組みになっていれば、普段はそれほど広い面積はいりません。また、収納に関しても効率のよい仕組みになっていれば、思ったより場所をとらずに大量の物を収納できるものです。特に、最近の住宅に設置されているシステムキッチンは、こうした工夫が隅々まで行き届いていますから、例え3畳程度のコンパクトなキッチンでも従来の6畳以上の機能性を持たせることも可能なので、あまり心配しなくてもよいでしょう。つまり、絶対的な広さより、どの程度まで機能的にできているかの方が大切だということを知っておいてください。
01 Cozy
DKやLDKで広々空間を
003-02.jpg 最近の家づくりでは、キッチンを独立させるより、ダイニングスペースやリビングスペースなどと一体化することで広々とした空間をつくる傾向にあります。時間に追われる朝の食事が手軽にできるし、目の離せない小さな子供がいる家庭では調理しているときにも安心なことが主な理由です。また、居住面積は限られているが、それでも広い空間が欲しいというニーズに応えられるのも理由です。
 こうしたオープンな空間にキッチンを併設すると、独立したキッチンよりコンパクトで作業動線を短くすることができるというメリットもあります。広い調理台が必要なときは、サービスカウンターやスライドテーブルを上手に活用すれば狭さが解消できますし、ときにはダイニングテーブルだって利用できるからです。つまり、広さより使い勝手のよい工夫されたスペースこそが快適なキッチンの条件だといえます。


 
02 Kitchen Style
“ムリ”と“ムダ”を解消する
003-03.jpg003-04.jpg 使い勝手のよいキッチンとは、“ムリなく”“ムダなく”が基本です。つまり、動く歩数を最短距離に、また最少動作でテキパキと調理ができるように、必要な設備機器をタテとヨコの最適ゾーンに配置するということです。作業の流れを中心に考えたヨコのゾーンと人が立ったときに手の届く範囲を中心に考えたタテのゾーンが最適な状態にあるということです。
 ヨコのゾーンでは、設備機器のセッティングによってI列型、II列型、L字型、U字型といった基本的な並べ方と少し特殊なアイランド型、ペニンシュラ型などがあり、それぞれに短所と長所があります。

 I列型とは、設備機器を横一列に並べる方式で、最も一般的な形です。ただ、食材を準備する、洗う、調理する、加熱するそれぞれの作業スペースに余裕を持たせすぎると、どうしても間口が広くなり、作業動線が長くなってしまいます。逆に、動線を短くするために間口を狭めてしまっては、作業スペースにゆとりがなくなりイライラの種になります。どうしてもスペースに限りがあるときには、不要時にキャビネットの内部に収納できるスライディングテーブルを併用するなどの工夫が必要です。

 長すぎる間口を狭める目的で、I列型の背面にもう1列設備機器を並べるのがII列型、途中で折り曲げるのがL字型です。当然、間口が狭まるので、I列型に比べて横への移動が少なくなりますから、作業動線もそれだけ短くなります。ただ、II列型はその2列の間を振り向き、往復しながら調理することになりますから、作業の流れが多少悪くなります。また、間の通路が狭いと複数の人が調理するときにぶつかり合う心配がありますし、逆に広すぎると2列間の往復距離が長くなり、作業動線が増すことになります。これに対して、I列型を途中で折り曲げるL字型に組み替えると作業動線は約3分の1になります。このため、I列型に次いで多いのがL字型です。

 U字型とは文字通り設備機器をU字に配列する方法で、従来は比較的規模の大きなキッチンに多くみられましたが、最近はダイニングキッチンなどでL字型のバリエーションとしてカウンターを設け、ダイニングコーナーと区分するとともに、簡単な食事ができるテーブルあるいは調理台として利用するケースも見かけるようになりました。
 アイランド型とは、設備機器を壁側に寄せないで部屋の中心に四方から作業ができるように配置する方法、ペニンシュラ型とは設備機器から連続させて半島のように調理台やダイニングテーブルを突き出す方法です。
トップの高さは身長の2分の1+5m
003-05.jpg タテゾーンでは、設備機器のワークトップが作業しやすい高さで、しかも、なるべくかがんだり背伸びしたりしないで調理道具や調味料などの出し入れがしやすいというのが基本です。ワークトップの高さは、身長の2分の1プラス5mが目安です。

 ここで忘れてならないことは、キッチンは住まいの中で一番収納するものが多く、しかも種類とサイズが煩雑だということです。キッチンでの作業は調理だけに限られたものではなく、こうした様々な調理器具の収納や食材・調味料類の保管場所でもあります。このため、日常よく使うものは手を軽く伸ばして届く範囲の、いわゆるワーキングゾーンに収納できる、めったに使わないものは天井の近く、重いものは床に近いストックゾーンに収納するという工夫も大事です。最近は、設備機器の下のキャビネットを開き扉式より整理整頓がしやすく、作業が楽なスライド引き戸が増えており、主婦の人気を集めています。

 いずれにせよ、作業の流れにスムーズに対応できるヨコゾーン、楽な姿勢で作業ができ、しかもムリな姿勢をしなくても物の出し入れがしやすいタテゾーンが安心なキッチンが、快適なキッチンといえます。

資料提供:ハウジング企画 社記事:オフィス サード アベニュー 斉藤良介

※2004年に掲載されたものを転記しています。


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