~カーテンは空間演出の魔術師~
第5回 イメージを決め、自由な発想でコーディネートしよう
大切なのは、トータルバランス

005-01.jpg  新生活を支える住まいが賃貸住宅だと、どうしても自分のイメージ通りとはいえないことが多く、だからといって勝手に大掛かりなリフォームをすることもできません。賃貸契約が終了して引っ越すときは、その部屋を元の姿に戻す、つまり原状回復の義務があるからです。そこで今回は、比較的簡単な工事で雰囲気が変えられるカーテンで窓辺を演出し、自分流の空間づくりをするときのチェックポイントを紹介しましょう。
 カーテンは、視線を遮ったり間仕切り、温度調節といった機能的な役割を無視することができませんが、装飾効果や季節感の演出に欠かせないないアイテムです。色や柄が豊富で、吊り方も楽しめるカーテンは、インテリアエレメントとして装飾効果が高い、まさにムードづくりの魔術師だからです。
 ただし、カーテン選びは洋服を選ぶときと同じでトータルバランスが一番大切です。壁紙の色、床の仕上げ、家具の色などとの関連性を考えてコーディネートしてください。



01 Color
インテリアイメージは、“色”が決め手
005-02.jpg  視覚的ムード演出の魔術師であるカーテンは、色や柄でその部屋が広くみえたり反対に狭く感じることがあります。例えば、狭い部屋に大柄で濃い色のカーテンを吊るといっそう狭く感じるし、青のような遠くにみえる後退色かオレンジのように近くにみえる進出色かでも感じ方が異なります。小柄な人が大柄や濃い色の洋服を着るといっそう小柄にみえるし、大柄な人が薄い色の洋服を着るとより大柄にみえるのと同じです。また、寒い季節に青や緑などではより寒く、蒸し暑いときに赤や黄色では暑苦しいと感じるものです。

 そこで、インテリアイメージに70%の影響を与えるといわれる、人が感じる色の特性についてもう少し具体的に考えてみましょう。

005-03.jpg  “赤”は交感神経系を刺激して脈拍や呼吸、血圧を上昇させ、消化液の分泌も促進するので低血圧の治療や食欲増進に効果があるパワーを生む色だといわれています。“橙”も同様に食欲を生む色ですが、インシュリンの分泌も助けるので糖尿病の心配がある人に効果があるといわれています。“黄色”は自律神経を活性化させるので、陽気で上昇志向を高め、“緑”は大脳の下垂体に働きますから落ち着きと安らぎを感じさせる色です。“青”は穏やかな精神状態へ促しますから不眠症などに効果が、“紫”は神経系の反射を鋭くするとともに、最も鎮静作業があるといわれています。自律神経を活性化するといわれるのが“白”ですが、光の反射率が高いのでまぶしいと感じることがあります。
02 Style
基本はレースとドレープの二重吊り
005-04.jpg
005-05.jpg  カーテンには大別してドレープ、レース、ケースメントの3種類があり、それぞれに特徴と目的があります。

 ドレープカーテンには厚手と薄手があります。厚手は遮光・保温に優れ、多小ですが遮音効果もあり、薄手は軽快な色調のものが多く、適度に光を通すため昼間のカーテンとしても使えるのが特徴です。レースカーテンには編んだものと織ったものがありますが、素材は綿よりポリエステルが中心になっています。ケースメントカーテンとはドレープとレースの中間品で、日中はほどよい光を取り入れ、夜はレースより遮蔽効果がありますが、最近はあまり使用されません。

 ところで、ひところまではレースは夏用、ドレープは冬用と考えている人がいましたが、レースとドレープは併用するのが基本です。レースは簾と同じで昼は外から見えませんが、夜は逆に照明で明るい室内がはっきり見えてしまうからです。カーテンは必ず二重吊りにし、夜はドレープも閉めてください。

 吊り方の種類も、いろいろあります。最も一般的なのは両開きですが、ゴージャスな雰囲気を演出したいときは中央を交差させたり、もっと装飾性を高くしたいときは全体交差や二段吊りなどにします。また、窓の部分だけでなく壁面までカーテンで覆うと大きな窓を連想させる効果があります。

 カーテンは吊り方の工夫だけではなく、生地をたっぷり使って美しいヒダをつくったり、カーテンレールなど吊り元の見苦しさを隠すバランスで装飾効果を楽しむこともできます。吊り元を隠すのではなく、装飾性の高い棒状の太いレールにリングで吊り積極的に見せたり、ロールカーテンといって巻き上げ式の日除けといった吊り方で、カジュアルな室内を演出する方法も最近の新しい傾向です。  カーテンはムードづくりの魔術師です。自由な発想で暮らす空間を自分流に演出してください。
色・素材・柄の組み合わせで変わるイメージ
ナチュラル
005-06.jpg 自然の持つ暖かさ、素朴で心和むくつろぎを感じさせるナチュラルな部屋づくりをしたいときは、シンプルな素材感を重視しましょう。柄は無地や無地調で草木など自然なモチーフ、素材は麻や綿などの自然素材で、アイボリー、ベージュ、黄緑系を中心にしたライトトーンの安らぎのある色というのが基本です。


カジュアル
005-07.jpg 気軽でくつろいだ感じ、気ままな楽しいイメージのカジュアルな部屋なら、大柄のチェックやストライプあるいは手書き風のイラストで、素材はプラスチック、ゴム、木綿なども適しています。色は清色調の鮮やかな色、明るく派手な色、快活でスポーティな色が楽しめます。

シンプルモダン
005-08.jpg 都会的でクールな感覚、すっきりしていて機能的、シャープなコントラストが楽しめます。無地が基本ですが、ストライプや幾何学的な柄で、素材にはスチールやガラス、石なども使えます。モノトーンが基本で、赤や青など強い色をアクセントカラーにします。

クラシック
005-09.jpg 伝統的、古典的、重厚なイメージで、凝った装飾、格式のある気高い雰囲気がクラシックの特徴です。従って、ペイズリ―など装飾的な伝統柄で、光沢のある金糸、絹、ベルベット、風格のある皮などが使われ、ブラウン系やワインレッドなど暖色系の濃い色、ダークグリーンやゴールドなど深みのある色が基本です。

エレガンス
005-10.jpg 繊細で、さりげない品のよさを感じさせる穏やかなイメージです。流れるような曲線や花柄、抽象柄で、素材はしなやかなシルクやサテンなど光沢のあるものを使います。穏やかなトーンのグレイッシュカラーを中心に、赤紫系のラベンダー、ライラックなどが代表的な色です。

和風
005-11.jpg ナチュラル感覚に近いが、古典的な和の感覚だけではなく、素材や色にモダンな要素を取り入れて現代風な感覚も楽しめます。日本独特のデザインを生かした柄とともに、無地や幾何学的な柄、素材感のある和紙や竹・籐を使い、渋みのあるトーンにシックな色でコントラストをつけたモダンな演出もできます。


インテリアイメージの半分以上は色で決まるといいましたが、素材や柄も大切な要素です。そこで、色や素材、柄の組み合わせでどのようなイメージになるのかを考えてみましょう。コーディネートを成功させるコツは、実現したいイメージをしっかり持つことだからです。基本イメージを確認し、自分の好きなテイストをみつけてください。

資料提供:ハウジング企画社 社記事:オフィス サード アベニュー 斉藤良介
※2004年に掲載されたものを転記しています。


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